116回の「高K血症」の問題
116A6 高K血症の原因となるのは
a β遮断剤
b インスリン
c ループ利尿剤
d グリチルリチン
e レニン・アンギオテンシン系抑制剤(〇)
解答(e)
a 交感神経関連薬は電解質異常をきたさない。
b インスリンはブドウ糖とKを細胞内にとりこむので高Kの治療に使われる
c ループ利尿薬はヘンレループでのK再吸収抑制により低K血症となる。
d 甘草中に含まれるグリチルリチンは偽性アルドステロン症をきたし低K血症となる
e RA系阻害薬はアルドステロン分泌を抑制し高K血症となる。
※人体にとってNaは血圧を維持するためにとっても大事。だから少しでも減るとアルドステロがすぐに尿から再吸収しますが、その時に「物々交換」する陽イオンとして「K」と「H」を交互に尿中に排泄します。だからアルドステロンを抑制するとKが出ていかないので高Kとなるのですよね。ああ、こんなこと皆知っているか💦
116C66
73歳の男性。腰痛で近医でNSAIDを処方されたが、早期の症状改善を期待して毎食後に服用していたが、昨日から心窩部痛を自覚し十分に食事や水分がとれなかったという。本日朝からふらつきが出現した。他に高血圧症、糖尿病、脂質異常症および不眠症に対し、ACE阻害薬、SU剤、スタチンおよびBZ系睡眠薬を内服している。
JCS I-1。脈拍48、不整。血圧86/50。呼吸数20。SpO2 98%。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚は乾燥している。Hb 13.4、白血球6,600、血小板22万。総蛋白7.3、アルブミン4.2、総ビリルビン0.7、AST 25、ALT 20、BUN35、Cr2.4、血糖120mg/dL、Na 138、K 7.6、Cl 108。直ちに行うべき検査はどれか。
a 頭部CT
b 尿中薬物検査
c 12誘導心電図
d 心エコー検査
e 胸部エックス線検査
116C67
直ちに投与すべき薬剤はどれか。
a ドパミン
b アトロピン
c アドレナリン
d 硫酸マグネシウム
e グルコン酸カルシウム
116C68
病態に関連する可能性のある薬剤はどれか。2つ選べ。
a NSAID
b スタチン
c スルホニル尿素薬
(解説)
急性腎障害(AKI)。原因は薬剤と脱水と考えます。
※腎毒性薬剤;NSAIDs・抗菌薬・抗癌剤・造影剤・糖尿病治療薬(BG剤)
(参考)
109G61 高齢者のNSAIDsによる腎障害による高K血症。直ちに行う検査と治療薬
⇒ 心電図・グルコン酸カルシウム
114E42 急性腎不全による高K血症時に直ちに行う対応は? ⇒心電図
※高Kを見たら心電図で「テント状T」と「QRS拡大」を確認する(検査ミスもある)
C68で高K血症をきたす可能性のある薬剤は(a)と(e)ですね